産婦人科外来に受診される患者さんへ

婦人科外来におきましてはこれまで、「主治医制」での対応とさせていただいておりましたが、働き方改革の実施に伴い、2023年4月より「複数担当医制(チーム制)」へ変更させていただきます。

良性疾患(子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、月経困難症、卵巣嚢腫、子宮脱など)の経過観察や、悪性腫瘍の治療後の経過観察におきましては「婦人科再来受診枠」にて対応させていただきます。

なお、手術前後の方や悪性腫瘍治療中の方、不妊治療中の方におかれましては、引き続き主治医制にて対応させていただきます。

大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力の程お願い申し上げます。

診療内容

当院では子宮筋腫、卵巣腫瘍、異所性妊娠(子宮外妊娠)等の良性疾患に対しては、1人1人の患者さんの治療法を十分に検討し、腹腔鏡・子宮鏡等のできるだけ身体への負担が少ない手術を行うことで、早期に退院し社会復帰できるよう心がけております。過多月経のため重症な貧血のある患者さんに対する新しい治療法としてマイクロ波を用いた子宮内膜凝固術を行っています。

子宮筋腫

下図は子宮筋腫で来院された患者さんの治療法の選択の方法です。症状の有無、妊娠の希望の有無、年齢などによって一人一人の患者さんに合った低侵襲(痛み・発熱・出血などをできるだけ少なくする)の治療法を選択しています。

過多月経

平成24年4月1日からマイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)が健康保険対応となりました。

月経の出血量が異常に多く、血の塊が見られる、貧血になるなどの場合、過多月経と診断されます。
薬物療法を実施しても症状が改善せず生活に支障をきたしてしまう場合には手術を検討します。今までは子宮摘出が主流でしたが、近年マイクロ波子宮内膜アブレーションという治療法が注目されています。

不妊症

・不妊症検査
 ・精液検査
 ・負荷試験を含むホルモン検査
 ・子宮卵管造影
 ・子宮ファイバースコープ検査(外来)

・不妊症治療
 ・タイミング指導
 ・排卵調節
 ・(濃縮洗浄)人工授精
 ・子宮鏡手術(粘膜下筋腫等)
 ・腹腔鏡手術(子宮内膜症、多嚢胞性卵巣等)

生殖補助医療(体外受精)が必要となった場合は、他院へ紹介となります。

手術

腹腔鏡下手術

腹腔鏡下手術とは、お腹にいくつかの小さな穴を開けそこからカメラや器具を挿入して実施する手術です。
通常おへその他に3か所の穴を開ける4孔式で実施しますが、恥骨上部を直線に切る2孔式や単孔式腹腔鏡下手術も実施しています。開腹手術に比べて身体への負担が少なく、美容的にも優れ社会復帰も早くなる患者さんにやさしい手術方法です。

治療の対象となるおもな疾患

子宮筋腫
卵巣腫瘍
子宮外妊娠
子宮内膜症
卵管閉塞
多のう胞性卵巣
子宮体がんの一部

子宮体がん

平成25年11月1日神奈川県内4番目の先進医療「腹腔鏡下子宮体がん根治手術」実施施設として、当院が承認され、実施しています。 腹腔鏡下で行うことにより手術による身体への負担や痛みが軽くなり、入院期間の短縮、早期の社会復帰が可能になります。

手術時には次の箇所に穴を開けます。赤字は穴のおよその大きさです。

メリットとデメリット

メリット
・傷が小さいため痛みが弱い。
・術後の回復が早いため、入院が短く社会復帰が早い(当院では卵巣の手術で術後2~3日、子宮の手術で術後4日での退院が多いです。)

デメリット
・一方で、腫瘍の大きさや位置や性状(悪性の可能性)、既往症等の条件により対象となる症例に制限がある

子宮鏡下手術

子宮鏡下手術とは、経腟的に子宮内に子宮鏡(カメラ)を挿入して実施する手術です。当院では子宮筋腫や子宮内膜のポリープ切除などで採用しています。
お腹を切らないので美容的にも優れ社会復帰も早くなる患者さんにやさしい手術方法です。

治療の対象となるおもな疾患

子宮筋腫(粘膜下筋腫)
子宮内膜ポリープ

メリットとデメリット

メリット
・お腹を切らない手術のため痛みがほとんどなく、手術当日または翌日に退院でき、社会復帰も早期に可能

デメリット
・筋腫の大きさと位置により、対象となる症例が限られる

マイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)

マイクロ波子宮内膜アブレーションは、お腹を切らずに膣から器具を挿入し、子宮内膜をマイクロ波で凝固することで、子宮を取らずに月経量を減らす効果があります。MEAは子宮摘出術の代替治療法として、体に負担をかけずに、数十分で終わる治療法です。
当院は機能性過多月経のみを対象としていました。現在は子宮鏡手術との併用や子宮腺筋症焼灼術との併用により、子宮筋腫や子宮腺筋症による器質的過多月経にも施行しています。

メリットとデメリット

メリット
・お腹を切らずに手術ができ、痕が残らない
・術後の痛みが少なく、短期入院のため社会復帰が早い
・既往症や常用薬があり子宮摘出術を受けられない方にも行えることが多い

デメリット
・過多月経の治療のため、月経困難症は改善しないことがある
・再発することもある
・妊娠の希望がある場合、対象とならない

MEA実施時の流れ

手術前日入院
手術当日午前中に手術実施、当日退院
2週間後
3ヶ月後
6ヶ月後
受診

以後通院可能であれば、子宮がん検診(特に体がん検診)を兼ねて受診していただきます

MEA実施後の経血量(自覚症状)の変化(術前の経血量を10とした、3カ月後の評価)

術後、41%の患者さんが無月経になっています。また82%の患者さんが経血量が5分の1以下に減少したと自覚されています。

最終更新日:2023年4月25日